時給の計算方法|月給・日給からの換算、残業代や手当のルールも解説
最終更新日:2026/08/17
目次を開く目次
この記事でわかること
- 月給や日給など様々な給与体系から自身の時給を算出する方法
- 残業や深夜労働における割増賃金の具体的な計算ルール
- 割増賃金の計算基礎に含める手当と除外すべき手当の区別
- 算出した時給が最低賃金を下回っていた場合の適切な対処法
給与明細を見て、自分の給料が正しく計算されているか不安に感じたことはありませんか。
特に月給や日給で働いている場合、手当や割増賃金を含めた正確な時給を把握するのは難しいものです。
この記事では、アルバイトから正社員まで、様々な雇用形態に合わせた時給の計算方法を解説します。
正しい計算方法を理解し、自身の給与が契約内容や法律に照らして正当であるかを判断できるようになりましょう。
【基本】アルバイト・パート向け!時給の正しい計算式
アルバイトやパートタイマーの給与は、最も基本的な時給計算が用いられます。
給与を正しく計算するための基本式は「時給×実働時間」です。
例えば、時給1,200円で5時間勤務した場合、その日の給与は6,000円となります。
この計算で最も重要なのは、給与が発生する対象となる「実働時間」を正確に把握することです。
複雑な月給や日給からの時給換算を理解する上でも、この基本式が全ての土台となります。
給与計算の第一歩は「実働時間」を正確に把握することから
実働時間とは、総労働時間(出勤してから退勤するまでの時間)から休憩時間を差し引いた、実際に業務に従事した時間のことです。
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えることが義務付けられています。
例えば、9時から18時まで(総労働時間9時間)働き、途中で1時間の休憩を取った場合、実働時間は8時間となり、この8時間分に対して給与が支払われます。
要注意!15分未満の労働時間を切り捨てるのは違法?
労働時間は、原則として1分単位で計算する必要があります。
タイムカードの打刻時間を会社が勝手に15分単位や30分単位で切り捨てて計算することは、労働基準法違反となる可能性が高いです。
例えば、18時5分に退勤したにもかかわらず、18時までの勤務として端数の5分が切り捨てられるのは認められません。
ただし、1ヶ月の給与計算の最終段階で、時間外労働の合計時間に30分未満の端数が出た場合に切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる事務処理は例外的に認められています。

【正社員向け】月給から自分の正しい時給を算出する方法
正社員のように月給制で働く場合、自身の時間単価、つまり時給を意識する機会は少ないかもしれません。
しかし、自分の働きが最低賃金を下回っていないかを確認したり、転職活動で他の求人と比較したりする際に、月給から時給を算出する方法を知っておくことは重要です。
この計算により、労働の価値を客観的に把握できます。
「月給 ÷ 月平均所定労働時間」で時給を割り出す
月給制の場合の時給は、「月給÷月平均所定労働時間」という計算式で割り出します。
ここでの「月給」とは、基本給に役職手当などの固定手当を加えたものを指し、通勤手当や家族手当など一部の手当は含めません。
また、「月平均所定労働時間」とは、会社が定めた1ヶ月あたりの平均の労働時間のことです。
給与明細と就業規則を確認し、これらの数値を正確に当てはめて計算します。
年間休日数から「月平均所定労働時間」を求める具体的な手順
月平均所定労働時間を求める方法は、まず年間の所定労働時間を算出し、それを12ヶ月で割ります。
具体的な手順は以下の通りです。
【月平均所定労働時間を求める3つのステップ】
- 年間所定労働日数を計算する:「365日-年間休日数」
- 年間所定労働時間を計算する:「年間所定労働日数×1日の所定労働時間」
- 月平均所定労働時間を計算する:「年間所定労働時間÷12ヶ月」
例えば、年間休日120日、1日の所定労働時間8時間の場合、月平均所定労働時間は約163.3時間となります。

【日給制・年俸制】それぞれの給与体系から時給を換算する仕方
日給制や年俸制も、月給制と同様の方法で時給に換算できます。
給与が支払われる期間が異なるだけで、時間あたりの価値を算出する基本的な考え方は同じです。
日給の場合は1日の労働時間で、年俸制の場合は1年間の総労働時間で割ることで、それぞれの時給を明らかにすることが可能です。
日給を1日の所定労働時間で割る場合の計算方法
日給制の場合の時給計算は、「日給÷1日の所定労働時間」で算出します。
例えば、日給が1万円で、1日の所定労働時間が8時間の場合、時給は「10,000円÷8時間=1,250円」となります。
日給制は、日によって労働時間が変動する場合があるため、契約時に1日の所定労働時間が何時間で設定されているかを確認しておくことが重要です。
年俸を年間の合計所定労働時間で割る場合の計算方法
年俸制における時給は、「年俸÷年間総所定労働時間」で計算します。
年間総所定労働時間は、「(365日-年間休日数)×1日の所定労働時間」で求められます。
例えば、年俸480万円、年間休日125日、1日の所定労働時間8時間の場合、年間総所定労働時間は1,920時間となり、時給は「4,800,000円÷1,920時間=2,500円」と計算されます。

時給を計算するときの基礎賃金に含める手当・含めない手当
残業代などを計算する際の基礎となる時給を算出する場合、すべての手当が基本給に含まれるわけではありません。
労働基準法では、基礎賃金に含める手当と除外する手当が定められています。
この区別を正しく理解しないと、割増賃金の計算を誤る原因となるため注意が必要です。
時給計算の基礎に「含める」手当(役職手当や調整手当など)
時給計算の基礎賃金には、労働との関連性が高く、毎月固定的に支払われる手当が含まれます。
具体的には、役職手当、資格手当、調整手当、皆勤手当などが該当します。
これらの手当は、個人の能力や職務内容に応じて支払われるものであり、労働の対価と見なされるため、割増賃金を計算する際の基礎に算入されます。
時給計算の基礎から「除外する」手当(通勤手当や家族手当など)
一方、労働基準法で定められた以下の手当は、個人の事情によって支給額が変動し、労働との直接的な関連が薄いと判断されるため、時給計算の基礎から除外することが認められています。
【時給計算の基礎から除外する手当】
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

残業代や深夜手当はいくら?割増賃金の計算ルールを解説
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合や、深夜(22時〜翌5時)に働いた場合、休日出勤した場合には、通常の時給に一定の割増率を上乗せした「割増賃金」が支払われます。
この割増ルールを理解することで、給与明細に記載された残業手当などが正しく計算されているかを確認できます。
時間外労働(残業)の割増率は基礎時給の1.25倍
1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させた場合、会社は通常の賃金の25%増し、つまり1.25倍の割増賃金を支払う義務があります。
例えば、基礎時給が1,200円の場合、残業時の時給は「1,200円×1.25=1,500円」となります。
この割増率は、月給制や日給制など、すべての雇用形態に適用されます。
深夜労働(22時〜翌5時)も基礎時給の1.25倍
午後10時から翌朝午前5時までの深夜帯に労働した場合も、時間外労働と同様に25%の割増賃金が発生します。
基礎時給が1,200円であれば、深夜労働時の時給は1,200円×1.25=1,500円です。
この割増は、所定労働時間内の勤務であっても、時間が深夜帯にかかっていれば適用される点に注意が必要です。
法定休日に労働した場合は基礎時給の1.35倍
労働基準法で定められた「法定休日」(週に1日または4週に4日)に労働した場合は、35%増しの割増賃金が支払われます。
基礎時給1,200円の場合、休日労働の時給は「1,200円×1.35=1,620円」となります。
会社が定める「所定休日」(祝日や創立記念日など)の労働は、休日労働ではなく時間外労働として扱われることが一般的です。
【計算例】深夜に残業した場合など割増が重複するときの考え方
割増賃金は、条件が重なることで重複して適用されます。
例えば、「法定労働時間を超え、かつ深夜に労働した場合(深夜残業)」の割増率は、時間外割増の25%と深夜割増の25%を合算した50%増し(1.5倍)となります。
基礎時給1,200円なら、時給は1,800円です。
同様に、「法定休日に深夜労働した場合」は、休日割増35%+深夜割増25%で60%増し(1.6倍)となります。
【割増賃金率の一覧目安】
時間外労働(残業):1.25倍
深夜労働(22時〜翌5時):1.25倍
法定休日労働:1.35倍
時間外労働+深夜労働(深夜残業):1.5倍
法定休日労働+深夜労働:1.6倍

計算した時給が最低賃金以下でないか必ず確認しよう
自分の時給を正確に計算できたら、最後にその金額が「最低賃金」を下回っていないかを確認することが非常に重要です。
最低賃金制度とは、国が定める賃金の最低限度額のことで、使用者はその金額以上の賃金を支払わなければならないと法律で義務付けられています。
この制度の正しい見方を知り、自分の権利を守りましょう。
自分の住んでいる地域の最新の最低賃金を調べる方法
最低賃金額は都道府県ごとに定められており、毎年10月頃に改定されることが多いため、常に最新の情報を確認する必要があります。
最新の最低賃金は、厚生労働省のウェブサイト内にある「地域別最低賃金の全国一覧」ページで簡単に調べることが可能です。
自分の勤務地の都道府県がどの金額に該当するか、必ず一度は目を通しておきましょう。
もし最低賃金を下回っていた場合の対処法と相談窓口
万が一、計算した時給が最低賃金を下回っていることが判明した場合、その契約は法律上無効となり、会社は最低賃金との差額を支払う義務があります。
まずは会社の給与担当者に計算根拠を確認し、それでも解決しない場合は、管轄の労働基準監督署や、全国どこからでも電話できる「労働条件相談ほっとライン」に相談する方法があります。
証拠として給与明細やタイムカードの記録を保管しておくとスムーズです。

時給の計算に関するよくある質問
ここでは、時給の計算について多くの人が抱きがちな疑問点について、Q&A形式で解説します。
これまで説明してきた内容の復習にもなるため、自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
不明な点が解消されない場合、専門家への相談も検討しましょう。
Q. 通勤手当や住宅手当は、時給の計算に含める必要がありますか?
いいえ、割増賃金の計算基礎となる時給を算出する際には、通勤手当や住宅手当は含めません。
これらの手当は労働の対価ではなく、従業員の個人的事情に応じて支払われる実費弁償的な性質が強いと解釈されるため、労働基準法で基礎賃金から除外することが認められています。
Q. 月給制ですが、自分の時給を計算する簡単な方法はありますか?
はい、あります。
基本的な計算式は「月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」です。
まず就業規則で年間の休日数と1日の所定労働時間を確認し、そこから1ヶ月あたりの平均労働時間を算出します。
その数値で、諸手当を除いた月給を割ることで、自身のおおよその時給を把握することが可能です。
Q. 残業代が正しく支払われているか、時給計算で確認するにはどうすればいいですか?
まず「(月給-除外手当)÷月平均所定労働時間」で基礎時給を算出します。
次に、その基礎時給に時間外労働(1.25倍)、深夜労働(1.25倍)、休日労働(1.35倍)といった法定の割増率を掛け合わせ、ご自身の残業時間と照らし合わせることで、支払われるべき正しい残業代を確認できます。
まとめ
時給の計算は、アルバイトやパートだけでなく、月給制や日給制で働く人々にとっても、自身の労働価値を正しく評価し、権利を守るために不可欠な知識です。
基本となる「実働時間」の考え方から、月給からの換算方法、割増賃金のルール、そして最低賃金との比較まで、本記事で解説した手順に沿って一度ご自身の給与を計算してみてください。
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