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退職者の年末調整|対象になる5つの条件と12月退職・確定申告の手続き【2026年】

退職者の年末調整|対象になる5つの条件と12月退職・確定申告の手続き【2026年】
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年の途中で会社を辞めたら、年末調整はどうなるのか。12月に退職する場合は辞めた会社でやってもらえるのか、それとも自分で確定申告が必要なのか。退職する本人だけでなく、手続きを担当する会社側も迷いやすいところです。

この記事では、退職者が年末調整の対象になる5つの条件と、12月退職の判定、年末調整を受けなかった人の確定申告、会社側の実務を、令和8年分(2026年)のルールでまとめました。
令和8年分は所得税がかからない目安が給与収入178万円まで上がったため、年の途中で辞めた人は確定申告で税金が戻りやすい年です。

この記事でわかること

  • 退職者でも辞めた会社で年末調整を受けられる5つのケース
  • 12月退職は「12月の給与日より後に辞めたか」で決まる
  • 年末調整を受けなかった人の確定申告(期間・必要なもの・還付)
  • 会社側の実務(源泉徴収票・給与支払報告書・住民税)

退職者は年末調整の対象?

年末調整は、原則として12月31日時点で在籍している人が対象です。年の途中で退職した人は、正社員・アルバイトを問わず、原則として辞めた会社では年末調整を受けません。
ただし国税庁は、年の途中で退職した人でも年末調整の対象になる例外を5つ挙げています。

退職者が原則として対象外になる理由

年末調整は、1月から12月までの給与の合計が確定したところで、毎月天引きした所得税と1年分の本来の所得税との差を精算する手続きです。
年の途中で辞めた人は、その後に別の会社で働くかもしれず、辞めた会社には1年間の収入が確定できません。そのため精算は、年末時点の勤務先か、本人の確定申告にゆだねられます。

例外:辞めた会社で年末調整を受けられる5つのケース

次のいずれかに当てはまる人は、退職した会社が退職時に年末調整をします(国税庁 No.2665)。

ケース ポイント
① 海外支店への転勤などで非居住者になった人 非居住者になる日までの給与で年末調整
② 死亡により退職した人 死亡退職時までの給与で年末調整
③ 著しい心身の障害のために退職した人 退職後、その年に再就職して給与を受ける見込みがある人は除く
④ 12月に支給されるべき給与を受け取った後に退職した人 12月の給与日より後に辞めた人。次の章で詳しく解説
⑤ パートタイマーなどが退職し、その年の給与の総額が136万円以下の人 令和8年分の金額。退職後、その年にほかの勤務先から給与を受ける見込みがある人は除く

⑤は見落とされがちですが、パートやアルバイトで年収が低い人には大切な条件です。該当しそうなら、退職時に会社の担当者へ年末調整をしてもらえるか確認しましょう。アルバイトの年末調整全般は「アルバイトの年末調整」で解説しています。

年内に再就職したら、転職先でまとめて精算

年の途中で辞めて、年内に別の会社に就職した場合は、年末時点の勤務先が前職分とあわせて年末調整をします。そのために、前の会社から受け取った源泉徴収票を新しい会社に提出します。
源泉徴収票が間に合わないと転職先では年末調整ができず、翌年に自分で確定申告をすることになります。詳しくは「転職したら年末調整はどうする?」を参考にしてください。

12月退職は「12月の給与日」が分かれ目

12月に退職する人が辞めた会社で年末調整を受けられるかは、12月に支給される給与を受け取ってから辞めたかどうかで決まります。退職日が12月31日かどうかではありません。

退職日と給与日の例 年末調整 理由
12月25日に給与を受け取り、12月31日に退職 辞めた会社で受ける 12月の給与を受けた後の退職(④)
12月25日に給与を受け取り、12月26日に退職 辞めた会社で受ける 同上。月末退職でなくても対象
12月20日に退職、給与日は12月25日 受けない 12月の給与日より前に退職している
11月30日に退職し、年内は働いていない 受けない 翌年に確定申告(⑤に当たる人を除く)
12月25日に給与を受けて12月31日に退職、12月分の残りの給与が翌年1月に支給 辞めた会社で受ける 1月に支給される給与は翌年分の所得として扱われる

翌年1月に支給される最終給与は「翌年分」

給与の所得税は、働いた月ではなく支給日が属する年の所得として計算します。たとえば締め日の関係で12月勤務分の給与が翌年1月に支払われる場合、その給与は翌年分の収入です。
そのため、12月の給与日より後に退職していれば、最後の給与が1月払いでも辞めた会社で年末調整を受けられます。1月に受け取った給与は、翌年の年末調整や確定申告で扱います。

会社の締め日・支給日を確認しておく

12月中旬に辞める予定なら、12月の給与日の前に辞めるか後に辞めるかで扱いが変わります。年末調整を会社にまとめてやってもらいたい場合は、退職日を12月の給与日より後に設定するのも一つの方法です。
退職日の決め方は、社会保険料の負担も含めて「退職日は月末にしないほうが得?」で解説しています。

【退職者向け】年末調整を受けなかったら確定申告

年の途中で退職し、年内に再就職しなかった人は、年末調整を受けていない状態です。翌年に自分で確定申告をすると、払いすぎた所得税が戻ってくることがほとんどです。

なぜ退職者は税金が戻りやすいのか

毎月の給与から引かれる所得税は、その月の給与が1年間続く前提で計算された概算です。年の途中で辞めると1年間の収入はそれより少なくなるため、天引きされた所得税は多めになりがちです。

さらに令和8年分は、基礎控除と給与所得控除の引き上げで、給与収入だけなら年収178万円以下は所得税がかからない計算になりました(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)。毎月の源泉徴収は11月まで改正前の税額表で行われるため、年の途中で辞めた人は例年以上に引かれすぎている可能性があります。
たとえば6月末に退職し、1〜6月の給与が合計150万円だった人は、令和8年分の所得税は0円になり、天引きされた所得税は全額戻る計算です。

確定申告の期間と必要なもの

項目 内容
期間 原則は翌年2月16日〜3月15日。税金を取り戻すだけの還付申告なら、翌年1月1日から5年間提出できる
必要なもの 退職した会社の源泉徴収票、マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)、各種控除証明書、還付金の振込先口座
作り方 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って入力
出し方 e-Taxで送信するか、印刷して税務署へ郵送・持参

還付申告は1月から受け付けているので、2月16日を待たずに出すと、混雑を避けて早めに還付を受けられます。

退職後に自分で払った保険料も控除できる

退職後に加入した国民年金や国民健康保険の保険料は、確定申告で社会保険料控除として差し引けます。年末調整を受けていないため、生命保険料控除や地震保険料控除も確定申告で申告します。医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)も同じタイミングで申告できます。

  • 日本年金機構から届く国民年金保険料の控除証明書
  • 国民健康保険料の領収書や納付額の分かるもの(市区町村で確認できる)
  • 生命保険料・地震保険料の控除証明書
  • 医療費の明細書、寄附金の受領証明書など

失業保険と退職金は申告が必要?

雇用保険の失業保険(基本手当)は非課税なので、確定申告に含める必要はありません。受給額の目安は「失業保険はいくらもらえる?計算シミュレーション」で確認できます。

退職金は給与とは別の「退職所得」です。退職時に会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、税金の精算は済んでいるため、原則として確定申告は不要です。出していなかった場合は退職金の20.42%が源泉徴収されているので、確定申告で精算すると税金が戻ることがあります。

翌年以降に再就職した場合

退職した年に再就職せず、翌年に新しい会社に入った場合、新しい会社の年末調整で扱うのは入社した年の分だけです。退職した年の分は、自分で確定申告をします。前の会社の源泉徴収票は、翌年の入社時にも提出を求められることがあるので、捨てずに保管しておきましょう。

退職後に独立・開業した場合

退職して個人事業主になった場合は、退職した会社の給与所得と、開業後の事業所得をあわせて確定申告します。給与所得の分は、退職した会社の源泉徴収票の金額を使います。
開業したら、原則として開業日から1か月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を出します。青色申告を選ぶ場合は「青色申告承認申請書」も必要です(開業日から2か月以内、1月1日〜15日開業ならその年の3月15日まで)。

【会社向け】退職者の年末調整と退職時の実務

会社は、退職者が年末調整の対象かどうかを判定したうえで、対象者には退職時に年末調整を行い、対象外の人には源泉徴収票を速やかに渡します。退職者に関する主な手続きは次のとおりです。

手続き 期限 ポイント
源泉徴収票の交付 退職日から1か月以内 所得税法第226条。年末調整の対象かどうかにかかわらず全員に交付
住民税の「給与所得者異動届出書」 退職した月の翌月10日まで 特別徴収をやめる届出。一括徴収か普通徴収かを記載
給与支払報告書の提出 翌年1月31日まで 退職者分は、その年の支払金額が30万円以下なら提出を省略できる
源泉徴収票(税務署提出分) 翌年1月31日まで 年の途中で退職した人は、支払金額が250万円を超える人の分(役員は50万円超)を提出

退職時に年末調整をするときの手順

前の章の5つのケースに当てはまる退職者は、退職時(最後の給与の支払い時)に年末調整を行います。手順は年末の年末調整と同じです。

  • 退職者から扶養控除等(異動)申告書の内容に変更がないか確認する
  • 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書と、保険料控除申告書を回収する
  • その年の給与総額と源泉徴収税額を集計し、年税額を計算する
  • 差額を最後の給与で精算し、源泉徴収票を交付する

退職後は連絡が取りにくくなるため、退職が決まった時点で書類と期限を案内しておくと回収漏れを防げます。

退職者の住民税は「一括徴収」か「普通徴収」

毎月の給与から住民税を天引き(特別徴収)していた人が退職すると、残りの住民税は次のように扱います。

退職した時期 残りの住民税
1月1日〜4月30日 5月分までの残額を、最後の給与や退職金から一括徴収(本人の申出がなくても)
6月1日〜12月31日 本人の申出があれば一括徴収。申出がなければ普通徴収(本人が納付書で納める)に切り替え
転職先が決まっている場合 本人の申出により、転職先で特別徴収を続けることもできる

5月に退職した場合は、5月分の天引きでその年度の住民税が終わるため、残額は生じません。

退職者の年末調整で起こりがちなトラブルと対処

前の会社から源泉徴収票が届かない

まずは前の会社の担当部署に発行を依頼し、いつ届くかを確認します。転職先の締め切りに間に合わない場合は、その旨を転職先の担当者に伝えましょう。
依頼しても交付されない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。税務署から会社に交付するよう指導が入ります。

源泉徴収票をなくしてしまった

退職した会社に再発行を依頼します。確定申告に使う場合は、マイナポータルとe-Taxを連携していれば、会社が税務署に提出した源泉徴収票のデータを取り込める場合もあります(会社がe-Taxで提出している場合に限る)。

転職先の年末調整に間に合わなかった

年末調整に間に合わなくても、慌てる必要はありません。翌年に自分で確定申告をすれば、前職と現職の給与をあわせて精算できます。その場合は両方の会社の源泉徴収票を用意してください。

退職者の年末調整に関するよくある質問

Q. 年の途中で退職したら、確定申告は必ず必要ですか?

年内に再就職しなかった場合、ほとんどの人は税金を払いすぎている状態なので、確定申告(還付申告)をすると税金が戻ってきます。還付申告は義務ではありませんが、しなければ払いすぎた税金は戻りません。
年内に再就職し、転職先で前職分もあわせて年末調整を受けた場合は、原則として確定申告は不要です。

Q. 12月31日に退職すれば、辞めた会社で年末調整をしてもらえますか?

退職日ではなく、12月に支給される給与を受け取った後に辞めたかどうかで決まります。12月の給与日より後に退職していれば対象です。給与日より前に辞めた場合は対象外で、翌年に確定申告をします。

Q. パートを辞めました。年収が少なくても年末調整はありますか?

その年の給与の総額が136万円以下(令和8年分)で、年内にほかの勤務先で働く見込みがなければ、辞めた会社が退職時に年末調整をします。会社に確認してみましょう。

Q. 会社は退職者に源泉徴収票をいつまでに渡せばいいですか?

退職日から1か月以内です(所得税法第226条)。本人から請求がなくても交付する義務があります。年末調整の対象になる退職者も同じです。

Q. 確定申告をしないとどうなりますか?

払いすぎた所得税は戻りません。還付申告は翌年1月1日から5年間できるので、忘れていた場合でもさかのぼって申告できます。
なお、所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。お住まいの市区町村に確認してください。

まとめ

年の途中で退職した人は、原則として辞めた会社では年末調整を受けません。ただし、12月の給与を受け取った後の退職、給与総額136万円以下のパートの退職、死亡・心身の障害による退職、非居住者になった場合は、辞めた会社が年末調整をします。

年内に再就職すれば転職先で前職分もまとめて精算し、再就職しなければ翌年に確定申告をします。令和8年分は年収178万円まで所得税がかからないため、年の途中で辞めた人は税金が戻りやすい年です。どの場合も、退職時に受け取る源泉徴収票は必ず保管しておきましょう。

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【参考】国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人/国税庁 No.1199 基礎控除/国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(昨年と比べて変わった点)

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