再就職手当とは?もらえる条件・金額の計算方法・いつもらえるかを解説
最終更新日:2026/08/17
目次を開く目次
この記事でわかること
- 再就職手当がもらえる対象となるための8つの条件
- 支給残日数によって給付率が変わる支給額の計算方法
- 再就職先への書類依頼を含む申請手続きの流れと期限
- 早期の収入確保などのメリットと、焦って就職先を決めるリスク
再就職手当とは、失業手当(基本手当)の受給資格がある方が、早期に再就職した場合に支給されるお祝い金のような制度です。
この手当を受け取ることで、経済的な不安を軽減し、新しい職場での生活をスムーズに始められます。
本記事では、再就職手当の受給条件から、受け取れる金額の計算方法、申請手続きの流れ、そして振込時期までを網羅的に解説します。
自分が対象になるかを確認し、正しい手続きで確実に手当を受け取りましょう。
再就職手当とは?早期の社会復帰を支援する制度
再就職手当とは、雇用保険の失業手当(基本手当)を受給している人が、支給期間を一定以上残して安定した職業に再就職した場合に受け取れる一時金のことです。
この制度の目的は、受給者が失業手当の満額受給にこだわらず、一日でも早く再就職できるよう促すことにあります。
早期の社会復帰は、求職者自身の生活の安定だけでなく、労働市場全体の活性化にもつながります。
ハローワークを通じて手続きを行い、定められた要件を満たすことで、残りの失業手当の一部がまとめて支給される仕組みです。
失業手当(基本手当)との違いを解説
失業手当(基本手当)と再就職手当は、どちらも雇用保険の制度ですが、その目的と支給されるタイミングが根本的に異なります。
失業手当は、離職者が次の仕事を見つけるまでの失業期間中の生活を支えるために支給されるものです。
一方、再就職手当は、失業手当の受給期間を多く残して早期に再就職が決まったことに対するお祝い金のような位置づけで、再就職後に支給されます。
したがって、両方を同時期に受け取ることはできません。
再就職手当は、受け取るはずだった失業手当の一部を前倒しで一括受給する制度と理解しておくとよいでしょう。
失業保険については「失業保険の計算方法と手続き」で詳しく紹介しています。
再就職手当を受給するための8つの条件をチェック
再就職手当を受給するには、8つの要件をすべて満たしている必要があります。
一つでも満たしていない項目があると手当は支給されないため、再就職が決まった際は事前に自身が対象となるかを確認することが重要です。
これから、それぞれの条件について具体的に解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
【条件1】失業手当の支給残日数が3分の1以上あること
就職日の前日時点での残日数が基準となります。
例えば、所定給付日数が90日の場合、30日以上の支給日数を残して再就職する必要があります。この残日数が多ければ多いほど、支給される手当の額も大きくなります。
特に、支給残日数が3分の2以上ある場合は、給付率が高く設定されており、より多くの手当を受け取ることが可能です。
【条件2】7日間の待期期間を満了した後の再就職であること
再就職手当は、この7日間の待期期間が満了した後に決まった再就職でなければ対象となりません。
待期期間中に就職が決まったり、仕事を始めたりした場合は、残念ながら再就職手当の支給対象外となります。この期間は、ハローワークが求職者の失業状態を確認するための重要な期間と位置づけられています。
【条件3】1年を超えて勤務することが確実であること
1年以下の雇用期間が定められている契約社員や派遣社員の場合、原則として対象外となる可能性があります。
ただし、契約更新の定めがあり、1年を超えて雇用される見込みがあると認められれば、支給対象となるケースもあります。採用時に雇用契約書などで雇用期間をしっかりと確認することが重要です。
【条件4】離職前の会社への再就職ではないこと
これには、資本、資金、人事、取引状況などからみて、離職前の事業主と密接な関わりを持つ関連会社への再就職も含まれます。例えば、元の会社の子会社や関連企業へ就職した場合も対象外となる可能性が高いです。
これは、制度の趣旨から外れる、形式的な再就職による手当の受給を防ぐための規定です。
【条件5】原則として雇用保険に加入していること
雇用保険の加入要件は、一般的に「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」ことです。
この条件を満たす働き方であれば、正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトといった雇用形態でも再就職手当の対象となります。就職先で雇用保険に加入できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
雇用保険被保険者証の再発行については「雇用保険被保険者証の再発行は即日可能?」で詳しく紹介しています。
【条件6】過去3年以内に再就職手当などを受け取っていないこと
具体的には、今回の再就職日より前の過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当といった同様の就職支度金を受け取っていないことが条件です。
短期間に何度も手当を受給することはできない仕組みになっています。過去3年以内にこれらの手当を受給した履歴がある場合は、支給対象外となるため注意が必要です。
【条件7】ハローワークへの求職申込み前から決まっていた採用ではないこと
そのため、ハローワークへ求職の申込みを行う前から内定が決まっていた企業への就職は、支給対象となりません。
あくまで、ハローワークで受給資格の決定を受けた後に開始した就職活動によって決まった再就職であることが前提となります。求職申込みの手続きと就職活動の時系列を正しく把握しておくことが大切です。
【条件8】自己都合退職の場合、待期期間満了後1ヶ月間はハローワーク等の紹介による就職であること
この給付制限期間中に再就職する場合、特別な条件が加わります。
待期期間満了後の最初の1ヶ月間については、ハローワーク、または厚生労働省が許可・届出を出している職業紹介事業者の紹介を通じて就職した場合にのみ、再就職手当の対象となります。知人の紹介や自己応募による就職では対象外となるため、注意が必要です。
パートやアルバイト、派遣社員でも受給できる?
パートやアルバイト、派遣社員といった雇用形態でも、再就職手当を受給することは可能です。
重要なのは雇用形態ではなく、これまで説明してきた8つの受給要件をすべて満たしているかどうかです。
特に、「1年を超えて勤務することが確実であること」や「雇用保険に加入すること」といった条件をクリアする必要があります。
例えば、アルバイトであっても長期雇用が前提で、週の労働時間が20時間以上であれば、要件を満たす可能性は十分にあります。
再就職手当はいくらもらえる?金額の計算方法とシミュレーション
再就職手当の支給額は、失業手当の支給残日数と基本手当日額によって決まります。
早期に再就職するほど、多くの日数分の手当がまとめて支給されるため、受給額も大きくなります。
ここでは、具体的な計算方法と、支給残日数に応じたシミュレーションを紹介し、実際にいくら程度の金額がもらえるのかを解説します。
再就職手当の支給額を決める計算式
再就職手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。
再就職手当額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
基本手当日額は、雇用保険受給資格者証に記載されている金額です。
給付率は、失業手当の支給残日数によって異なり、所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は70%、3分の1以上を残して就職した場合は60%となります。
つまり、より早く再就職を決めるほど給付率が高くなり、支給額も増える仕組みです。
【支給残日数別】具体的な計算例で受給額をシミュレーション
具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。
例えば、基本手当日額が5,000円、所定給付日数が90日の方のケースで計算します。
ケース1:支給残日数が65日(3分の2以上)の場合
給付率が70%適用になるため、計算式は「5,000円×65日×70%」となり、支給額は227,500円です。
ケース2:支給残日数が40日(3分の1以上)の場合
給付率が60%適用になるため、計算式は「5,000円×40日×60%」となり、支給額は120,000円となります。
このように、就職するタイミングによって受給額に大きな差が出ます。
再就職手当の申請手続きを4ステップで解説
再就職手当を受け取るには、ハローワークで決められた申請手続きを正確に行う必要があります。
再就職が決まったら、速やかに手続きの準備を始めることが大切です。
ここでは、採用証明書の提出から申請完了までの一連の流れを4つのステップに分けて、具体的な方法を解説します。
この手順に沿って進めることで、スムーズな申請が可能です。
ステップ1:再就職先から「採用証明書」をもらいハローワークへ提出
この書類は、ハローワークで失業手当の手続きをした際に受け取る「受給資格者のしおり」に同封されています。
採用証明書を再就職先の企業に提出し、事業主の証明欄に必要事項を記入してもらいましょう。記入が完了した採用証明書を、自身の住所を管轄するハローワークに提出します。
この提出をもって、失業手当の支給は停止され、再就職手当の申請手続きが開始されます。
ステップ2:ハローワークで「再就職手当支給申請書」を受け取る
この書類が、再就職手当を申請するための正式な申請書です。
窓口で直接受け取るか、郵送で送られてくるのが一般的です。申請書の他に、手続きに関する説明書なども一緒に渡されるため、内容をよく確認しておきましょう。
この時点で、申請に必要な書類がすべて揃うことになります。
ステップ3:再就職先に申請書を記入してもらう
事業主記入欄には、勤務を開始した日や仕事内容、雇用期間の有無などを証明してもらう必要があります。
入社後に会社の担当部署に依頼し、記入してもらいましょう。書き方が分からない場合は、空欄のままにせず、ハローワークや会社の担当者に確認することが重要です。
ステップ4:ハローワークに必要書類を提出して申請完了
提出方法は、ハローワークの窓口へ直接持参するか、郵送でも可能です。
郵送の場合は、書類の紛失を防ぐためにも簡易書留などを利用すると安心です。ハローワークが書類を受理した時点で、申請手続きは完了となります。
申請はいつまで?就職日の翌日から1ヶ月以内の期限に注意
再就職手当の申請には、厳格な期限が設けられています。
申請期限は、原則として就職した日の翌日から1ヶ月以内です。
この期限を過ぎてしまうと、時効により申請の権利が失われ、手当を受け取れなくなる可能性があります。
再就職先での業務が始まると忙しくなりがちですが、申請手続きを後回しにせず、計画的に進めることが重要です。
事業主から書類を返却してもらう時間も考慮し、余裕を持って行動しましょう。
申請してからいつもらえる?振込までの期間の目安
再就職手当の申請書類をハローワークに提出した後、すぐに振込が行われるわけではありません。
提出された書類をもとに審査が行われ、支給が決定されるまでには一定の期間が必要です。
一般的に、申請から振込までの期間は1ヶ月から1ヶ月半程度が目安となります。
支給が決定すると、まず「支給決定通知書」が郵送で届き、その後、指定した金融機関の口座に手当が振り込まれます。
通知が届いてから数日以内に振込が実行されるケースが多いようです。
再就職手当を受け取る3つのメリット
再就職手当は、単に一時金がもらえるだけでなく、求職者にとって複数のメリットがあります。
失業手当を満額受給するまで待つよりも、早期に就職してこの手当を活用することで、経済的にもキャリア的にも良いスタートを切ることが可能です。
ここでは、再就職手当を受け取る主な3つのメリットを解説します。
早期の就職で安定した収入を確保できる
最大のメリットは、早期に再就職することで、失業手当よりも高い月々の給与収入を安定して得られる点です。
失業手当は生活を支えるためのものですが、その額は前職の給与の満額ではありません。
早く就職活動を終えて仕事に就けば、経済的な基盤を迅速に立て直すことができます。
再就職手当は、その新しいスタートを後押しするボーナスのようなものであり、生活の安定に大きく貢献します。
「就業促進定着手当」の対象になる可能性がある
再就職手当を受給すると、さらなる給付金である「就業促進定着手当」の対象になる可能性があります。
これは、再就職手当を受給した人が、同じ会社で6ヶ月以上働き続け、かつ再就職後の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給される手当です。
低下した賃金の一部が補填されるため、収入面の不安を和らげ、職場への定着をサポートする目的があります。
再就職手当の受給が、この追加支援への第一歩となります。
手当は非課税なので税金の心配が不要
再就職手当は、失業手当と同様に雇用保険法に基づく「失業等給付」に分類されるため、所得税や住民税の課税対象にはなりません。
したがって、支給された金額をそのまま全額受け取ることができ、後から税金を納めたり、確定申告をしたりする必要もありません。
給与収入とは異なり、手当の額面がそのまま手取り額になる点は、大きなメリットと言えます。
再就職手当を受け取る際の注意点(デメリット)
再就職手当には多くのメリットがある一方で、受給を検討する際にはいくつかの注意点も理解しておく必要があります。
早期の再就職を急ぐあまり、長期的なキャリアプランを見誤る可能性もゼロではありません。
ここでは、手当を受け取る際に考慮すべきデメリットや注意点を解説します。
失業手当を満額受給するより総額は少なくなる
再就職手当として支給される金額は、失業手当の支給残日数の60%または70%です。
そのため、失業手当を最後まで受け取り切った場合の総額と比較すると、雇用保険から支給される手当の合計額は少なくなります。
ただし、これはあくまで手当のみを比較した場合の話です。
実際には早期に就職することで給与収入が得られるため、収入の総額としては、早期に再就職した方が多くなるのが一般的です。
焦って就職先を決めると早期離職につながるリスクがある
「残日数が多いほど手当が多くもらえる」という仕組みから、支給額を意識するあまり、焦って就職先を決めてしまうリスクがあります。
企業研究や自己分析が不十分なまま入社すると、ミスマッチが生じ、結果的に早期に辞めることになりかねません。
再就職手当はあくまで支援金であり、最も重要なのは長期的に活躍できる職場を見つけることです。
手当の受給に固執せず、慎重な転職活動を心がける必要があります。
履歴書や職務経歴書を作成する際は「無料の履歴書テンプレートと職務経歴書作成」で詳しく紹介しています。
【注意】再就職手当がもらえない主なケース
特に不支給となりやすいケースとして以下の点が挙げられます。
- 7日間の待期期間中に就職した場合
- 就職日の前日時点での失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1に満たない場合
- 1年未満の短期契約での雇用である場合
- 離職した会社(関連会社を含む)へ復帰した場合
- フリーランスや自営業として独立する場合(原則対象外)
再就職手当に関するよくある質問
再就職手当の制度は複雑な部分もあり、多くの疑問が寄せられます。
ここでは、特に質問の多い項目について、簡潔に解説します。
申請を検討している方は、自身の疑問と照らし合わせて確認してください。
Q. アルバイトやパートでも再就職手当はもらえますか?
はい、もらえます。
雇用形態にかかわらず、「1年を超えて勤務することが確実である」「雇用保険に加入する」といった8つの受給要件をすべて満たせば、アルバイトやパートの方でも再就職手当の支給対象となります。
Q. 再就職手当をもらった後、すぐに会社を辞めたら返金は必要ですか?
原則として返還の必要はありません。
再就職手当は、申請時点で受給要件を満たしていれば支給が確定するため、その後に自己都合で退職しても返還を求められることはありません。
ただし、不正な手段で受給した場合はこの限りではありません。
Q. 失業手当と再就職手当を両方もらうことはできますか?
いいえ、両方を同時にもらうことはできません。
再就職手当は、支給が残っている失業手当を再就職後に一時金として前倒しで受け取る制度です。
そのため、再就職手当の申請手続きをすると、その時点で失業手当の支給は終了します。
まとめ
再就職手当は、失業手当の受給資格者が早期に安定した職に就いた際に支給される支援金です。
受給には、支給残日数が3分の1以上あることや、1年以上の勤務が見込まれることなど、複数の条件をすべて満たす必要があります。
支給額は残りの日数が多いほど高くなり、経済的な助けとなります。
手続きは再就職先への書類依頼も含むため、入社後1ヶ月以内という申請期限を守れるよう、計画的に進めることが重要です。
不明な点がある場合は、管轄のハローワークに相談してください。
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