退職給付金とは?怪しいは本当?失業手当との違いと申請方法
最終更新日:2026/08/17
目次を開く目次
この記事でわかること
・ 「退職給付金」の正体と、退職金と失業手当の根本的な違い
・ 失業手当の受給条件と受け取れる金額の計算方法
・ 失業手当の申請から受給完了までの全手順
・ 「退職給付金が怪しい」と言われる理由と注意すべき点
退職給付金という言葉を耳にした際、それが具体的に何を指すのか、また「怪しい」といった噂は本当なのか疑問に思う方もいるかもしれません。
多くの場合、「退職給付金」は公的な制度である失業手当を指しますが、会社の退職金と混同されがちです。
この記事では、失業手当の違いを明確にし、それぞれの制度の概要から、失業手当の具体的な申請方法までを分かりやすく解説します。
退職後の生活設計でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも退職給付金とは?多くの人が混同する2つの制度
「退職給付金」という言葉は、実は法律で定められた正式な用語ではありません。
一般的には、退職後に受け取れるお金の総称として使われることが多く、主に「企業の退職金」と「雇用保険の失業手当」という2つの異なる制度が混同されています。
前者は会社が独自に設ける制度、後者は国が管轄する公的な制度であり、その性質は全く異なります。
多くの方が失業手当のことを指して「退職給付金」と呼んでいるのが実情です。
企業が独自に設ける「退職金制度」
退職金制度は、企業が福利厚生の一環として独自に設けている制度です。
法律で支払いが義務付けられているわけではないため、制度の有無や内容は会社によって大きく異なります。
支給条件(勤続年数など)や金額の計算方法は、各企業の就業規則や退職金規程によって定められています。
退職金には、退職時に一時金として支払われる「退職一時金制度」や、年金形式で受け取る「企業年金制度」など、いくつかの種類が存在します。
国が管轄する雇用保険の「失業手当(基本手当)」
失業手当(正式名称:基本手当)は、国が管轄する雇用保険制度の一部です。
これは、会社の制度とは関係なく、国が定めた公的なセーフティネットといえます。
雇用保険に加入していた労働者が失業し、働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない場合に、生活の安定を図りながら再就職を支援するために支給されます。
したがって、一定の受給要件を満たせば、会社の退職金の有無にかかわらず受け取ることが可能です。
【一覧表】退職金と失業手当の5つの違いを分かりやすく比較
退職金と失業手当は、支給元から税金の扱いまで多くの点で異なります。
この2つの制度は全くの別物であり、その違いを正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、退職金と失業手当の違いを5つのポイントに分けて、それぞれ具体的に比較しながら解説します。
退職後の生活設計を立てる上で、両者の特徴をしっかりと把握しておきましょう。
違い① 支給元は会社か国か
最も大きな違いは、誰がそのお金を支払うかという点です。
退職金は、長年の功労に報いるために、これまで勤めてきた会社が独自に定めた規程に基づいて支給します。
一方、失業手当は、雇用保険制度に基づき、国(具体的にはハローワーク)から支給されます。
したがって、お金を受け取るための問い合わせ先や手続きの窓口が全く異なることを覚えておく必要があります。
違い② 受給するための条件
受給条件もそれぞれ異なります。
退職金は、会社の退職金規程に定められた勤続年数や退職理由といった社内ルールを満たす必要があります。
一方、失業手当を受給するためには、雇用保険の被保険者期間が離職日以前2年間に12ヶ月以上あることや、ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に就職しようとする意思があることなど、法律で定められた公的な条件を満たさなければなりません。
違い③ いつから支給が開始されるか
お金を受け取れるタイミングも大きく異なります。
退職金は、会社の規定によりますが、一般的には退職日から1ヶ月から2ヶ月程度で支払われるケースが多いです。
対して失業手当は、ハローワークで手続きをしてから最短でも7日間の待期期間があり、自己都合退職の場合はさらに原則一定の給付制限期間が設けられています。
そのため、実際に最初の支給を受けるまでには一定の期間を要します。
違い④ 受け取れる金額の算定方法
受け取れる金額の決まり方も異なります。
退職金の額は、企業の規程に基づいており、勤続年数、役職、基本給、退職理由などを基に算出されます。
会社ごとに計算方法が違うため、金額も様々です。
一方、失業手当の金額は、離職する直前6ヶ月間の給与総額と年齢に基づいて「基本手当日額」が法律で定められた計算式によって一律に決定します。
個人の事情や会社の規模は直接影響しません。
違い⑤ 税金の取り扱いの違い
税金の面でも違いがあります。
退職金は「退職所得」として扱われ、長年の勤労に対する報償的な意味合いから、他の所得に比べて税負担が軽くなるように「退職所得控除」という大きな控除が適用されます。
これにより、税金の負担が大幅に軽減されるのが特徴です。
一方、失業手当は非課税所得とされており、所得税や住民税は一切かかりません。
失業手当はいくらもらえる?受給条件と金額の計算方法を解説
失業手当は、退職後の生活を支える重要な資金源となります。
しかし、誰でも自動的にもらえるわけではなく、定められた条件を満たす必要があります。
また、受給できる金額も退職前の給与や年齢によって変動します。
ここでは、失業手当を受け取るためにクリアすべき具体的な条件と、実際にいくら受け取れるのか、その金額の計算方法について詳しく解説していきます。
失業手当の受給に必須となる3つの条件
失業手当の受給資格を得るには、以下の3つの主要な条件をすべて満たす必要があります。
第一に、ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があること。
第二に、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
第三に、原則として、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることです。
自己都合退職と会社都合退職で異なる給付日数と給付制限
失業手当が支給される日数(所定給付日数)や支給開始までの期間は、退職理由によって大きく異なります。
自己都合での退職の場合、7日間の待期期間に加えて原則として給付制限があり、給付日数は90日から150日です。
一方、倒産や解雇などによる会社都合での退職(特定受給資格者)の場合は、給付制限がなく待期期間終了後から支給が始まり、給付日数も年齢や被保険者期間に応じて90日から330日と手厚く設定されています。
【3ステップで簡単】基本手当日額の算出シミュレーション
1日あたりに受け取れる失業手当の金額(基本手当日額)は、以下の3ステップで簡単に算出できます。
まず、退職前6ヶ月間の賃金(賞与等は除く)の合計を180で割り、「賃金日額」を求めます。
次に、その賃金日額に年齢ごとに定められた給付率(約50~80%)を掛け合わせます。
この給付率は、賃金日額が低いほど高い率になるよう設定されています。
この計算によって、基本手当日額の金額が確定します。
【5ステップ】失業手当の申請から初回振込までの全手順
失業手当を受け取るためには、正しい手順に沿って申請手続きを進める必要があります。退職後に会社から必要書類を受け取り、ハローワークへ提出することから始まります。
ここでは、失業手当の申請から実際に自身の口座へ初回分が振り込まれるまでの流れを、具体的なステップに分けて詳しく解説します。初めて手続きを行う方でも、全体の流れを把握できるように説明します。
ステップ1:退職後に会社から受け取る必要書類を準備する
退職後、まず会社から「雇用保険被保険者離職票(通称:離職票)」と「雇用保険被保険者証」を受け取ります。特に離職票は、失業手当の申請手続きに必ず必要となる重要な書類です。
離職票は、会社がハローワークに書類を提出し、ハローワークでの処理を経て発行されるため、退職後すぐに渡されるものではありません。一般的には、退職日から10日〜2週間程度で自宅に郵送されることが多いとされています。もし、期間を過ぎても届かない場合は、速やかに会社の担当部署に確認しましょう。これらの書類が手元にないと、その後の手続きを進められません。
ステップ2:管轄のハローワークで求職申込みと受給資格決定
会社から受け取った離職票や本人確認書類などを持参し、自身の住所を管轄するハローワークへ行きます。
窓口で「求職の申込み」を行い、失業手当の受給手続きをしたい旨を伝えます。
提出した書類に基づき、職員が受給資格の有無を確認します。
ここで受給資格があると判断されると、「雇用保険受給資格者のしおり」が渡され、初回説明会の日時が案内されるという手続きの流れになります。
ステップ3:受給資格決定日から7日間の待期期間を過ごす
ハローワークで受給資格が決定した日から通算して7日間は「待期期間」と呼ばれます。
この期間は、退職理由が自己都合でも会社都合でも、すべての受給希望者に一律で適用されます。
待期期間中は失業手当が支給されません。
この期間は、本当に失業状態にあるかを確認するためのものとされています。
待期期間中にアルバイトなどを行うと、失業状態と見なされず期間が延長される場合があるため注意が必要です。
ステップ4:指定された日時の雇用保険受給者初回説明会へ参加する
待期期間が満了した後、ハローワークから指定された日時に開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。
この説明会は受給資格が決定した人全員が対象で、失業手当を受給するための重要な手続きです。
説明会では、雇用保険制度の概要や今後の手続きの流れについての説明があり、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
最初の失業認定日もこの場で伝えられます。
ステップ5:最初の失業認定日にハローワークへ行き手続き完了
説明会で指定された最初の「失業認定日」に、管轄のハローワークへ行きます。
失業認定日とは、前回の認定日から今回までの期間中に失業状態にあったかどうかを確認してもらう日です。
当日は「失業認定申告書」に求職活動の実績などを記入して提出し、職員による確認を受けます。
ここで失業が認定されると、通常5営業日ほどで指定した金融機関の口座に支給額が振り込まれ、初回の振込手続きが完了します。
「退職給付金は怪しい」の真相|不正受給を招く民間サポート業者に注意
「退職給付金は怪しい」という噂の真相は、公的な制度自体ではなく、一部の民間サポート業者の存在にあります。
インターネット上では「給付金を多くもらう方法を教える」といったサービスが見受けられますが、これらが不正受給につながるケースがあり注意が必要です。
本当は、国の制度を正しく理解し、適切に申請すれば何も怪しいことはありません。
ここでは、どのような点に注意すべきかを解説します。
注意すべきは公的制度ではなく民間の申請代行サービス
国が運営する雇用保険制度は、失業者を支えるための正当な公的制度であり、全く怪しいものではありません。
注意が必要なのは、「退職給付金の申請をサポートする」と謳い、高額なコンサルティング料を請求する民間のサービスです。
中には、本来の受給資格がないにもかかわらず、虚偽の理由で申請するよう指南するなど、不正受給を助長する悪質な業者も存在するため、安易に利用しないよう注意が求められます。
虚偽申請が発覚した際の「3倍返し」などの重いペナルティ
悪質な業者の指示に従い、例えば就職活動の実績を偽ったり、働けない状態ではないのに虚偽の診断書を提出したりして失業手当を不正に受給した場合、厳しいペナルティが科せられます。
不正が発覚すると、受け取った手当の全額返還はもちろんのこと、返還額の最大2倍にあたる金額の納付が命じられることがあります。
これは通称「3倍返し」と呼ばれ、刑事罰として詐欺罪に問われる可能性もある重い処分です。
失業手当だけじゃない!退職後に受け取れる可能性のある給付金制度
退職後の生活を支える公的な支援は、失業手当だけではありません。
個々の状況に応じて、他にも利用できる給付金制度が存在します。
例えば、早期に再就職が決まった場合や、病気・ケガで働けない場合、あるいはスキルアップを目指す場合など、特定の条件を満たすことで受け取れる手当があります。
ここでは、退職後に受け取れる可能性のある代表的な3つの制度を紹介します。
早期に再就職が決まった場合に支給される「再就職手当」
再就職手当は、失業手当の受給資格がある方が、給付日数を一定以上残した状態で安定した職業に早期に再就職した場合に支給されるお祝い金のような制度です。
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなどの要件を満たす必要があります。
この手当は、失業状態の長期化を防ぎ、一日も早い再就職を促進することを目的としています。
残っている給付日数が多いほど、もらえる手当の額も多くなります。
病気やケガが理由で働けない期間を支える「傷病手当金」
傷病手当金は、健康保険から支給される給付金です。
業務外の病気やケガの療養のために仕事を休み、会社から十分な給与が受けられない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられています。
退職前に継続して1年以上健康保険に加入しており、退職日時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態であれば、退職後も引き続き給付を受けられる場合があります。
キャリアアップのための学習費用を補助する「教育訓練給付金」
教育訓練給付金は、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人が支払った教育訓練経費の一部が支給されます。
対象となる講座は、プログラミングや介護、語学など多岐にわたります。
キャリアチェンジやスキルアップを目指す際に、学習費用を抑えることができます。
AI活用で履歴書作成を効率化する「ヤギッシュ」
転職活動では、失業手当などの手続きと並行して、履歴書や職務経歴書の作成が必須となります。
特に自己PRや志望動機の作成に時間がかかり、悩む方も少なくありません。
履歴書作成サービス「ヤギッシュ」では、AIが入力した情報をもとに自己PR文の提案などを行ってくれるため、書類作成の負担を大幅に軽減できます。
効率的に質の高い応募書類を準備し、スムーズな再就職活動を進めるためのサービスです。
退職給付金に関するよくある質問
退職給付金や失業手当に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で解説します。
制度の違いや受給条件など、特に質問の多いポイントをまとめました。
Q. 退職給付金と失業手当は、具体的に何が違うのですか?
「退職給付金」は通称で、多くは失業手当を指しますが、会社の退職金と混同されがちです。
失業手当は国から、退職金は会社から支給される全く別の制度です。
したがって、両者は同じものではなく、支給元や受給条件、税金の扱いなどが大きく異なります。
Q. 会社の退職金制度がなくても、退職給付金はもらえますか?
はい、もらえます。
会社の退職金制度の有無にかかわらず、雇用保険への加入期間など国が定める条件を満たしていれば、失業手当を受給することが可能です。
退職金は会社の福利厚生であり、失業手当は公的な雇用保険の制度だからです。
Q. 自己都合で退職した場合、失業手当はいつから、いくらもらえますか?
自己都合退職の場合、ハローワークでの手続き後、7日間の待期期間を経てから給付が始まります。給付制限期間は、離職日に応じて原則1〜2ヶ月間です。もらえる金額は、退職前6ヶ月間の給与額と年齢によって決まり、1日あたりの支給額は離職前賃金の50~80%が目安とされています。
まとめ
「退職給付金」という言葉は、一般的に国の公的制度である「失業手当」を指しますが、企業独自の「退職金」と混同されやすい点に注意が必要です。
両者は支給元、受給条件、金額の算定方法などが全く異なります。
失業手当は、条件を満たせば退職金の有無にかかわらず受給できる公的な支援制度です。
また、「怪しい」という噂は制度自体ではなく、不正受給を助長する一部の民間サービスに関連するものです。
公的制度を正しく理解し、計画的に手続きを進めましょう。
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