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転職したら年末調整はどうする?源泉徴収票がない場合も解説【2026年】

転職したら年末調整はどうする?源泉徴収票がない場合も解説【2026年】
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年の途中で転職すると、年末調整をどこで受けるのか、前職の源泉徴収票はどう扱えばいいのか、迷うところが多くなります。12月入社の場合はそもそも対象になるのかも分かりにくいところです。

この記事では、転職した本人が何をすればいいかに絞って、対象になるかの判定、必要な書類、書き方、間に合わなかったときの対処までをまとめます。令和8年分(2026年)から変わった控除のルールも解説します。

転職した年の年末調整はどこでやる?

年末調整は、その年に支払われた給与から源泉徴収された所得税を精算する手続きです。転職した場合、原則として年末時点で在籍している会社が、前職分とあわせて精算します。

退職した前の会社では年末調整を受けられません。前職は「あなたに年内いくら支払って、いくら源泉徴収したか」を源泉徴収票で証明する役割になります。

前職の源泉徴収票を出せるかどうかが分かれ目

国税庁は、年の途中で就職して年末まで勤務している人も年末調整の対象としたうえで、前職の給与額と源泉徴収税額を源泉徴収票などで確認すると説明しています。そしてこの確認ができないときは年末調整を行うことができず、本人が確定申告で精算するとしています。

つまり転職者にとっては、源泉徴収票が手元にあるかどうかが「会社にやってもらえるか、自分でやるか」を分ける一点です。

年内に再就職しなかった場合は確定申告

年内に転職先が決まらないまま年末を迎えた場合、年末調整を受ける会社がないため、自分で確定申告をします。期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までです。

退職後は給与がないぶん、源泉徴収された所得税を納めすぎていることが多く、確定申告をすると還付される可能性があります。離職期間の生活費については失業保険はいくらもらえる?もあわせて確認してください。

自分は年末調整の対象?5パターンで判定

転職者のケースを整理すると、次の5つに分かれます。自分がどれに当てはまるか確認してください。

あなたの状況 年末調整 やること
年内に転職し、年末も在籍。前職の源泉徴収票あり できる 源泉徴収票と申告書を現職へ提出
年末も在籍。ただし源泉徴収票が間に合わない できない 翌年に自分で確定申告
12月入社で、年内に給与の支払いがない できない 翌年に自分で確定申告
年内に再就職していない できない 翌年に自分で確定申告
年収2,000万円を超える できない 在籍していても確定申告

12月入社は「入社日」ではなく「給与日」で決まる

12月入社の人がつまずきやすいのがここです。年末調整の対象になるのはその年に支払われた給与なので、判定の基準は入社日ではありません。

たとえば12月16日入社で、締め日の関係から最初の給与が翌年1月25日に支払われる場合、その年に支払われた給与は0円です。転職先は精算する対象を持っていないため、年末調整はできません。前職分は自分で確定申告することになります。

自分がどちらか分からないときは、内定時にもらった労働条件通知書の「賃金の締切日・支払日」を見てください。入社日が締め日より後なら、初回の給与は翌月になります。

雇用形態は関係ない

正社員・契約社員・パート・アルバイトといった雇用形態は、年末調整の対象かどうかに影響しません。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していて、年末まで在籍していれば対象です。

【令和8年分】控除のルールが変わっています

令和7年分から所得税の控除が大きく見直され、令和8年分もその扱いが続きます。転職した年は合計所得金額を自分で見積もる場面があるので、変更点を押さえておいてください。

基礎控除が合計所得に応じた5段階に

従来は一律48万円でしたが、合計所得金額に応じて変わる形になりました。

合計所得金額 令和7年分・令和8年分 令和9年分以後
132万円以下 95万円 95万円
132万円超 336万円以下 88万円 58万円
336万円超 489万円以下 68万円 58万円
489万円超 655万円以下 63万円 58万円
655万円超 2,350万円以下 58万円 58万円

太字の3区分は令和8年分までの上乗せで、令和9年分からは58万円に戻ります。合計所得が132万円超655万円以下の人は、今年と来年だけ控除が多い状態です。なお2,350万円を超える場合の扱いは改正されていません。

そのほかの3つの変更

項目 変更内容
給与所得控除の最低保障額 55万円 → 65万円
扶養親族等の所得要件 48万円以下 → 58万円以下(勤労学生は75万円 → 85万円)
特定親族特別控除の創設 19歳以上23歳未満・合計所得58万円超123万円以下の親族について最高63万円

特定親族特別控除は新しくできた制度です。大学生くらいの子どもがいて、その子にアルバイト収入がある場合が該当します。受けるには「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要なので、該当しそうなら会社から配られる書類をよく確認してください。

転職後の年末調整で必要な書類

前職の源泉徴収票

転職者にとって最重要の書類です。会社は所得税法上、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。退職から1か月経っても届かない場合は、前職の人事や経理に連絡してください。

現職から配られる申告書

11月前後に、次の3種類が配られます。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

2つ目は長い名前ですが、令和7年分から特定親族特別控除申告書が加わってこの形になりました。古い様式を調べると名前が違うので、会社から配られたものを使ってください。

離職期間に払った国民年金・国民健康保険の証明書

退職から入社までに空白期間があり、国民年金保険料や国民健康保険料を自分で払っていた場合、その全額が社会保険料控除の対象になります。転職者が取り逃がしやすい控除なので忘れないでください。

いつ何が届くかは次のとおりです。

書類 送り主 届く時期
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 日本年金機構 11月上旬ごろ(10月以降に初めて納付した場合は翌年2月ごろ)
国民健康保険の支払額が分かるもの 市区町村 証明書の発行がない自治体も多い。領収書や口座の記録で申告する
生命保険料・地震保険料の控除証明書 保険会社 10月ごろ

国民健康保険は、国民年金と違って控除証明書が発行されない自治体が多いのが落とし穴です。年末調整では支払った金額を自己申告する形になるので、退職後に払った通知書や領収書は捨てずに取っておいてください。

退職前後の手続き全体は退職の流れとやることにまとめています。

申告書の書き方で転職者が迷うところ

前職の給与を書く欄はない

申告書に前職の給与額や源泉徴収税額を記入する欄はありません。源泉徴収票を提出すれば、あとは会社の担当者が合算して計算します。自分で転記する必要はないので、記入に悩むより提出を優先してください。

合計所得金額の見積額は「前職+現職」で書く

基礎控除申告書の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」は、前職の給与と現職の給与を足した金額から計算します。現職分だけで書いてしまうと、基礎控除の区分がずれて金額が変わってしまいます。

前職分は源泉徴収票の「支払金額」、現職分は12月までの見込みを給与明細から計算してください。見積もりなので多少ずれても問題ありませんが、上の5段階表の境界(132万/336万/489万/655万)をまたぐかどうかは意識して書きます。

控除は在職月数で減らない

年の途中から働き始めた人が心配しがちな点ですが、基礎控除や扶養控除は在職した月数で按分されません。国税庁も、年の中途で就職した人について控除額は全額が認められると説明しています。4月入社でも12月入社でも、控除の額は変わりません。

源泉徴収票がもらえないときの対処法

まずは前職に依頼する(メール例文)

退職時にもらい損ねた、紛失した、そもそも送られてこない。どの場合も、最初にやることは前職への依頼です。気まずく感じる人が多いところですが、交付は会社の義務なので遠慮はいりません。

件名:源泉徴収票の再発行のお願い(◯◯ ◯◯)

△△株式会社 人事部 ◯◯様

お世話になっております。20XX年◯月まで□□部に在籍しておりました、◯◯◯◯です。

現在の勤務先での年末調整にあたり、貴社在籍時の源泉徴収票が必要となりました。恐れ入りますが、再発行をお願いできますでしょうか。

送付先:〒XXX-XXXX ◯◯県◯◯市…
希望時期:◯月◯日ごろまで

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

提出期限がある場合は、いつまでに必要かを書くと動いてもらいやすくなります。

それでも出ないときは税務署へ

依頼しても発行されない、会社と連絡が取れない、倒産しているといった場合は、所轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。税務署から前職へ行政指導が行われ、発行が促されます。

年内に2回以上転職した場合

その年に給与を受けたすべての会社の源泉徴収票が必要です。1社でも欠けると現職では年末調整ができません。全部そろえるか、そろわないなら確定申告に切り替えるかの二択になります。

前職の年収を転職先に知られたくない場合

源泉徴収票には前職の支払金額が書かれているため、提出すると前職の年収は転職先の担当者に分かります。これが気になって提出をためらう人もいます。

どうしても避けたい場合は、年末調整を受けずに自分で確定申告するという選択ができます。会社には「前職分は自分で確定申告します」と伝えれば足り、理由を説明する必要はありません。手間は増えますが、精算される税額は同じです。

ただし、源泉徴収票を扱うのは経理や人事の担当者であり、前職の年収が社内に共有されるわけではありません。実務上は過度に心配しなくてよい場面がほとんどです。

年末調整とは別に確定申告が必要になるケース

副業がある場合(20万円ルールの正確な話)

「副業が20万円以下なら申告不要」とよく言われますが、正確には条件があります。副業が給与かどうかで判定が変わる点に注意してください。

副業の種類 所得税の確定申告が必要になる目安
業務委託・フリマ・投資など(給与以外) 給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えるとき
アルバイト・パート(給与) 年末調整されなかった給与収入と、その他の所得の合計が20万円を超えるとき

そしてもう一点、見落とされがちなのがここです。

20万円以下でも、住民税の申告は必要です。20万円ルールは所得税の確定申告を省略できる制度であって、住民税には同じ特例がありません。確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村に住民税の申告をしてください。

年末調整では受けられない控除がある

次の3つは年末調整の対象外なので、受けるなら確定申告が必要です。転職とは関係なく該当する人がいます。

  • 医療費控除
  • 寄附金控除(ふるさと納税。ワンストップ特例を使う場合を除く)
  • 住宅ローン控除の1年目

住宅ローン控除は2年目以降なら年末調整で受けられます。1年目だけ確定申告が必要です。

転職すると住民税の引かれ方も変わる

年末調整の話に隠れがちですが、転職した年は住民税の納め方も変わります。所得税とは仕組みが違うので、分けて理解しておくと慌てずに済みます。

住民税は「去年の所得」に対してかかる

所得税はその年の所得に対してその年のうちに精算されますが、住民税は前年の所得をもとに翌年6月から翌々年5月にかけて納める仕組みです。年末調整で精算されるのは所得税だけで、住民税はここに含まれません。

このズレがあるため、転職や離職をした年は「収入が減ったのに住民税は高いまま」という状況が起きます。

退職のタイミングで徴収方法が変わる

退職した時期 残りの住民税の扱い
1月〜4月 5月分までが最後の給与や退職金から一括徴収される
6月〜12月 原則は自分で納付(普通徴収)に切り替わる。希望すれば一括徴収も可能

6月以降に退職した場合、しばらくすると市区町村から納付書が自宅に届きます。給与天引きに慣れていると見落としやすいので、届いたら期限を確認してください。

転職先で天引きに戻すには手続きがいる

普通徴収に切り替わったあと、転職先の給与天引き(特別徴収)に戻すには「給与所得者異動届出書」の提出が必要です。転職先の担当者に「住民税を特別徴収に切り替えたい」と伝えれば案内してもらえます。

自動では戻らないので、黙っていると納付書で払い続けることになります。手間を減らしたい人は入社時に相談しておくとスムーズです。

還付金はいくら戻る?

年末調整で戻ってくる金額は人によって違いますが、転職者は還付になりやすい傾向があります。理由は毎月の源泉徴収のしくみにあります。

毎月の給与から引かれる所得税は、「この給与が1年間続いたら」という前提の概算です。年の途中で離職期間があったり、前職より給与が下がったりすると、年間の実際の所得は前提より少なくなります。その差額が還付されます。

加えて、離職期間に自分で払った国民年金・国民健康保険の控除が乗ると、還付額はさらに増えます。国民年金保険料は月額1万7,000円台なので、3か月分で5万円を超える控除になることもあります。

戻ってくるのは12月または1月の給与です。給与明細の「年末調整」の欄を見れば金額が分かります。自分の手取りの水準が気になる場合は手取り25万は額面でいくら?もあわせて参考にしてください。

転職した年のスケジュール

時期 やること
退職後1か月以内 前職から源泉徴収票が届く。届かなければ連絡
10月ごろ 保険会社から控除証明書が届く
11月上旬ごろ 日本年金機構から国民年金の控除証明書が届く
11月〜12月初旬 現職に申告書と源泉徴収票を提出
12月または1月の給与 精算され、還付または追徴される
翌年2月16日〜3月15日 年末調整ができなかった場合は確定申告

会社が設定する提出期限は11月中旬から下旬が多く、国の期限ではなく会社の締め切りです。間に合わなければ確定申告に回るだけなので、慌てて誤った内容を書くより、確実な方法を選んでください。

転職した年の年末調整に関するよくある質問

前の会社と今の会社、どちらで年末調整しますか?

年末時点で在籍している今の会社です。前職の源泉徴収票を提出すれば、前職分と合算して精算されます。退職した会社で年末調整を受けることはできません。

源泉徴収票が間に合わなかったらどうなりますか?

その年の年末調整は会社では行えず、翌年2月16日から3月15日に自分で確定申告します。税額の精算結果は年末調整と同じなので、損をするわけではありません。

アルバイトやパートで転職した場合も対象ですか?

対象です。雇用形態は関係ありません。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していて年末まで在籍していれば、正社員と同じ扱いになります。

離職期間が長かった場合、還付は増えますか?

増える可能性があります。毎月の源泉徴収は「1年を通して同じ給与が続く」前提で計算されているため、収入のない期間があると納めすぎになりやすいからです。離職期間に払った国民年金・国民健康保険の控除を忘れずに申告してください。

失業給付そのものは非課税なので、所得には含めません。受給中の手続きは失業認定申告書の書き方で解説しています。

まとめ

転職した年の年末調整は、年末に在籍している会社で、前職の源泉徴収票を出して受けるのが基本です。源泉徴収票が間に合わない、12月入社で年内の給与がない、年内に再就職していない、といった場合は自分で確定申告に切り替えます。

どちらになっても精算される税額は同じなので、焦る必要はありません。離職期間に払った国民年金・国民健康保険の控除を取り逃がさないことだけ、気をつけてください。転職した年に限って発生する、金額の大きい控除です。

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監修者:島伸明

株式会社Yagishの取締役CMO。履歴書作成サービス「Yagish(ヤギッシュ)」の成長を牽引し、2024年には800万UUを突破、会員登録者数160万人を達成するなど、日本のキャリア支援市場で高い実績を誇る。大手企業での新規事業・海外事業に加え、複数の企業で取締役を歴任。事業企画、EC、エンタメ、ゲーム開発、マーケティング、コンサルティングと多岐にわたる分野で豊富な経験を持ち、キャリア形成に深い知見を持つ。