2025.04.24

一身上の都合の意味は?正しい使い方・退職理由での注意点(例文あり)

「一身上の都合ってどういう意味?」

「一身上の都合はどういう時に使っていいの?」

などなど、悩む方は多くいるのではないでしょうか?

  • 一身上の都合を使う場合のケース別例文
  • 一身上の都合を使う時の注意点

などなど他にも色々ありますよね。

「一身上の都合」は退職や内定辞退の理由としてよく使われる表現ですが、正しい意味や適切な使い方を知らないと、どうやって使えばいいかわからず、困りますよね。

本記事では、「一身上の都合」の意味から、使うタイミング、例文、さらに使えないケースまで詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

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まず「一身上の都合」ってどういう意味?

「一身上の都合」とは、個人的な事情や理由を指す言葉で、特に退職や辞職の理由として広く使われています。この表現は「私事都合」とも言い換えられ、具体的な理由を明かさずに、個人的な事情があることを伝える婉曲的な言い回しです。

 

言葉の意味

本来、「一身上」とは「個人の身の上に関すること」を意味し、「都合」は「事情」や「理由」を表します。つまり、「一身上の都合」とは「個人的な事情」という意味になります。

 

一身上の都合が使われる理由

この表現が広く使われる理由は、具体的な退職理由を明かしたくない場合や、プライバシーに関わる内容を詳細に説明する必要がない場合に、相手に配慮しながら自分の意思を伝えられるからです。

例えば、以下のような様々な個人的理由が「一身上の都合」に含まれます:

  • 転職を考えている
  • 家族の介護が必要になった
  • 健康上の理由
  • 結婚や出産
  • 引っ越しや移住
  • 進学や留学

これらの具体的な理由を明かさずに、「一身上の都合」という言葉で丁寧に伝えることができるのです。

このように、「一身上の都合」は単なる言い回し以上に、日本の職場文化やビジネスコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている表現なのです。

 

一身上の都合を使う・書くタイミングはいつ?

「一身上の都合」という表現は、個人的な理由で何かを辞める、または断る際に広く使われている言葉です。特に職場や就職活動の場面でよく使用されますが、実際にはどのようなタイミングで使うのが適切なのでしょうか。

 

今働いている会社に退職願や退職届を書く時

会社を辞める際、退職願や退職届には、通常「一身上の都合により退職致したく存じます」といった定型文が用いられます。

この表現を使うことで、健康上の問題や家族の事情、転職の意向など、個人的な退職理由を詳細に説明する必要がなくなります。特に本当の退職理由が「人間関係の悪化」や「待遇への不満」など、直接的に伝えにくい内容である場合に有効です。

>退職届・退職願の書き方完全ガイド|テンプレート、手書き例文、辞表との違い

 

履歴書や職務経歴書に退職理由を書く場合

転職活動の際、履歴書や職務経歴書の前職の退職理由を記入する際に「一身上の都合」と書くことがあります。

履歴書は書類選考の重要な資料となるため、ネガティブな印象を与えないよう「一身上の都合」という中立的な表現を用いることで、面接の場で詳しく説明する機会を得ることができます。

ただし履歴書だけでは情報が限られるため、面接で退職理由について質問された際には、ポジティブな表現で回答できるよう準備しておきましょう。

 

内定辞退をする場合

就職活動中に内定を得たものの、何らかの理由でその申し出を辞退する場合にも「一身上の都合」という表現が活用できます。例えば、他社からより条件の良い内定を得た場合や、家庭の事情で就職自体を見送る必要が生じた場合などが該当します。

内定辞退は企業側にとって採用計画の変更を余儀なくされる事態であるため、丁寧な対応が求められます。「一身上の都合により、誠に恐縮ではございますが内定を辞退させていただきたく存じます」といった表現で伝えることが一般的です。

ただし、特に就職活動の早い段階で内定を得た大手企業などの場合、内定辞退の本当の理由(他社への入社など)を率直に伝えた方が良いケースもあります。

 

一身上の都合を書く場合の例文

「一身上の都合」は、プライベートな理由や個人的な事情を詳しく説明せずに退職や辞退の意思を伝える際に便利な表現です。ここでは、退職願や退職届、履歴書、職務経歴書、内定辞退など、状況別に適切な例文をご紹介します。

 

退職願や退職届を書く時の例文

退職願や退職届は、会社に対して正式に退職の意思を表明する重要な書類です。

<退職願の例文>

「このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職させていただきたく、ここにお願い申し上げます。」

<退職届に書く例文>

この度、一身上の都合により、誠に勝手ながら令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。

 

履歴書・職務経歴書に退職理由を書く時の例文

履歴書の退職理由欄は、スペースが限られているため簡潔に記載する必要があります。以下のような例文が適しています。

履歴書の例文

 

職務経歴書の場合

職務経歴書でも同じように「一身上の都合により退職」と記載できます。
ですが、職務経歴書ではよりポジティブな印象を与える表現を心がけると良いでしょう。

>職務経歴書と履歴書での「退職理由・転職理由」の書き方徹底解説!例文付き

 

内定辞退をする時の例文(メールと電話)

内定辞退は、企業側の採用活動にも影響を与えるため、丁寧な対応が求められます。以下のような例文を参考にしてください。

メールでの内定辞退例文:

「件名:内定辞退のご連絡 山田太郎」

〇〇株式会社
〇〇様

お世話になっております。先日、内定のご連絡をいただきました〇〇大学の〇〇〇〇と申します。

このたび、一身上の都合により、誠に恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。

選考過程において多大なるお時間とご配慮を賜りましたにもかかわらず、このようなご連絡となり、大変申し訳ございません。

また、本来であれば貴社へお伺いし、お詫びをするべきところですが、
メールでのご連絡になりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

末筆となりますが、貴社の今後ますますのご発展をお祈り申し上げます。

〇〇〇〇」

 

電話での内定辞退時の会話例:

「お世話になっております。先日内定をいただきました〇〇大学の〇〇と申します。」

「このたび、一身上の都合により、内定を辞退させていただきたいと思い、お電話いたしました。」

「選考過程で多くのお時間をいただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり、誠に申し訳ございません。」

内定辞退の理由について詳しく尋ねられた場合は、簡潔に誠実に答えることが大切です。例えば「他社からの内定を受諾することにしました」「家族の事情で地元に戻ることになりました」など、状況に応じた回答を準備しておくとよいでしょう。

>【内定後】メールのやりとり例文集!承諾・辞退・質問で好印象を与える完璧マナー

 

一身上の都合が使えないタイミングとは?

実は「一身上の都合」という言葉は万能ではなく、適切に使えないケースがあります。特に重要なのは「会社都合退職」の場合です。

 

自己都合退職と会社都合退職の違いって?

自己都合退職と会社都合退職には、大きな違いがあります。それぞれの特徴と影響を理解しておきましょう。

 

自己都合退職の特徴

自己都合退職は、従業員自身の意志で退職する場合を指します。このケースでは「一身上の都合」という表現が適切です。

自己都合退職の場合は、あなた自身が退職を選択したという扱いになるため、各種給付や待遇面で不利になることが多いです。

 

会社都合退職の特徴

会社都合退職は、会社側の理由によって退職せざるを得なくなった場合を指します。このケースでは「一身上の都合」ではなく「会社都合」と明記すべきです。

会社都合退職に該当するケースとしては、以下のようなものがあります。

  • 会社の倒産や事業縮小による人員整理
  • リストラや希望退職の募集
  • 雇用契約の満了(契約社員の契約終了など)
  • 会社による不当な待遇変更や労働条件の悪化による退職
  • ハラスメントなどの就労環境の悪化による退職

>支給日前に退職、退職予定だとボーナスはもらえない?ベストな退職時期とは?

 

退職理由を聞かれた時の返し方は、「一身上の都合」で押し通せる?

「一身上の都合」は便利な表現ですが、どのような状況でも通用するわけではありません。特に退職理由を聞かれた場合、状況によっては「一身上の都合」だけでは不十分な場合があります。

 

退職するときに聞かれたら

会社に退職を伝えると、上司や人事から具体的な退職理由を聞かれることがあります。このとき、「一身上の都合」だけで通すことは難しい場合が多いでしょう。

会社としては人材流出の原因を把握したいという意図があるため、ある程度の説明は必要です。ただし、ネガティブな理由(人間関係のトラブルや待遇への不満など)をそのまま伝えると、退職までの期間に居心地が悪くなったり、引き継ぎがスムーズに進まなくなったりするリスクがあります。

対応例

  • プライベートな理由の場合:「家庭の事情で」「健康上の理由で」など、ある程度具体的にしつつもプライバシーを守る表現を使う
  • キャリアアップが理由の場合:「自分のスキルをさらに伸ばすため」「新しい分野にチャレンジしたい」など前向きな理由を伝える
  • 会社の不満が理由の場合:直接的な批判は避け「自分の希望するキャリアパスと合わなくなった」などポジティブな表現に言い換える

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転職の面接で聞かれたら

転職活動中の面接で前職の退職理由を聞かれた場合、「一身上の都合」だけでは誠実さに欠ける印象を与えかねません。面接官は応募者の人柄や価値観を見極めるために、前職を辞めた本当の理由を知りたいと考えています。

ポイントとしては、ポジティブな言い方に変えることです。

例えば、「前職では〇〇の業務を担当していましたが、より〇〇の分野を深く極めたいと考え、貴社のような〇〇に力を入れている企業で自分の能力を発揮したいと思い、転職を決意しました」といった回答が好印象を与えやすいでしょう。

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内定辞退するときに聞かれたら

内定を辞退する際に理由を聞かれた場合も、単に「一身上の都合」と答えるだけでは相手に不誠実な印象を与える可能性があります。

  • 誠実かつ簡潔に伝える:長々と説明する必要はないが、最低限の理由は述べる
  • 企業への敬意を示す:「貴社の内定をいただき大変光栄でしたが」など感謝の言葉を添える
  • 具体的な理由は状況に応じて:「他社からも内定をいただき比較検討した結果」「家族の事情で転居が難しくなった」など、状況に合わせた理由を伝える
  • 企業批判は避ける:たとえ待遇面や業務内容に不満があったとしても、直接的な批判は避ける

例えば、他社への就職が決まった場合は「他社からも内定をいただき、自分のキャリアプランと照らし合わせて慎重に検討した結果、今回は辞退させていただくことにしました」といった伝え方が適切です。

 

まとめ

「一身上の都合」とは個人的な事情を意味し、退職理由として広く使われる表現です。退職願や履歴書、職務経歴書、内定辞退など様々な場面で使用できますが、具体的な理由を聞かれた場合は状況に応じた対応が必要です。自己都合退職と会社都合退職では失業給付金などの条件が異なるため、区別することが重要です。

会社都合の場合は「一身上の都合」と表現するべきではありません。退職理由を「一身上の都合」と伝える際は、相手に不快感を与えないよう丁寧な表現を心がけましょう。正しい使い方を理解することで、円滑な退職プロセスや転職活動につながります。

 

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監修者:島伸明

株式会社Yagishの取締役CMO。履歴書作成サービス「Yagish(ヤギッシュ)」の成長を牽引し、2024年には800万UUを突破、会員登録者数160万人を達成するなど、日本のキャリア支援市場で高い実績を誇る。大手企業での新規事業・海外事業に加え、複数の企業で取締役を歴任。事業企画、EC、エンタメ、ゲーム開発、マーケティング、コンサルティングと多岐にわたる分野で豊富な経験を持ち、キャリア形成に深い知見を持つ。